消化器がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について(第9報)令和5年5月8日以降の感染症法上の位置づけ変更に伴う感染対策の運用について
2023年5月8日
一般社団法人日本消化器がん検診学会
感染症対策委員会
新型コロナウイルス感染症対策については、令和5年5月8日以降は感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されることが決定しました。これを受け、政府が示してきた基本的対処方針及び業種別ガイドライン、健康増進法に基づく健康診査等の対処通知(令和2年5月26日付け厚労省通知)は廃止され、今後は、日常における基本的な感染対策については、個人の主体的な選択を尊重し、政府として一律に感染対策を求めることはなく、個人や事業者は自主的に感染対策に取り組むことが求められるようになりました#1。
#1:内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室長 令和5年4月27日事務連絡: 基本的対処方針に基づくイベントの開催制限、施設の使用制限、業種別ガイドライン等の取組の廃止に当たっての留意事項について
https://corona.go.jp/package/assets/pdf/jimurenraku_seigen_20230427.pdf
本学会では、これまで、消化器がん検診にあたっての新型コロナウイルス感染症への対応について、政府が示す基本的対処方針やガイドライン、対処通知に沿った感染対策を提言して参りました。
令和5年5月8日以降の位置づけ変更後の消化器がん検診の実施にあたっては、消化器がん検診は健常者を対象にするとはいえ、高齢者や基礎疾患を抱える重症化リスクの高い者も少なからず受診すること、また、胃内視鏡検査などのような飛沫の曝露機会がある検査が含まれることなどから、本学会では、以下に示す点に留意し、引き続き適切な感染対策に取り組む必要があると考えます。
- 3密の回避、人と人とが触れ合わない距離での間隔の確保、咳エチケット、効果的な換気、接触感染対策としての手指衛生・共用部の消毒などの基本的感染対策は従来通り継続する。
※ ただし、施設入口での検温やパーティションの設置は施設毎の判断で構わない。 - 健診(検診)スタッフには、上記の基本的感染対策の遵守、不織布マスク着用やワクチン接種、その場に応じた個人防御服(PPE)の着用を奨励する。
※ 飛沫の曝露機会がある内視鏡スタッフについては、感染防止対策としてフェースシールド付きマスク(またはゴーグル+マスク)・手袋・キャップ・ガウン(長袖)などを着用することを引き続き推奨する。日本消化器内視鏡学会の指針を尊重し、地域や施設の実情、費用などを勘案して適切な対応をとること。 - 新型コロナウイルス感染症が否定できない発熱者ならびに感冒症状のある者は健診の実施を延期し、医療機関の受診を勧める。
- 検診会場や施設内では受診者に不織布マスク着用をお願いする。
※ 不織布マスクの着用が困難な身体的事情を抱える者や着用拒否する者で検診受診を強く希望する場合は、個人の事情を尊重しつつ、身体的距離が確保でき、換気が良い場所で待機してもらうなどの対応を考慮する。丁寧な説明が肝要である。 ※ バリウム検査や胃内視鏡検査などでは、検査中のマスク着用や飛沫拡散防止対策を継続することを推奨する。 - 新型コロナウイルス感染症で厚労省が定めた療養期間が終了していない方、ワクチン接種後3日以内の方は、待機期間が過ぎてから受診するようにお願いする。
これまで各施設で行ってきた感染対策を踏まえ、位置づけ変更後の消化器がん検診の実施にあたっては、地域や施設の実情ならびに実施主体の要請に応じて、適切な感染対策を施していただき、受診者ならびに検診スタッフにとって安全・安心な検診体制の構築に努めてください。
参考1: | 健診に関連する8団体(日本総合健診医学会・日本人間ドック学会・結核予防会・全国労働衛生団体連合会・日本対がん協会・全日本病院協会・日本病院会・予防医学事業中央会)が合同で取り纏めた「健診実施機関における健診実施時の新型コロナウイルス感染症対策」については、位置づけ変更後の運用の見直しを図った感染対策が示されることになっています。各団体のホームページを参照してください。 例:人間ドック学会: 健康診断実施時における新型コロナウイルス感染症対策について https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2023/05/coronakaisei20230508.pdf 例:日本総合健診医学会: 「健康診断における新型コロナウイルス感染症対策」の改訂について(2023/5/8改訂) https://jhep.jp/jhep/top/content_view.jsp?name=coronavirus19 |
参考2: | 内閣官房ホームページに、位置づけ変更後の事業者の自主的な取組への支援として感染対策を含めた各種情報を掲載していますので、必要に応じてご参照ください。 内閣官房新型コロナウイルス感染症ホームページ:https://corona.go.jp/guideline/ |
参考3:基本的感染対策に関する専門家の意見等については以下も参照してください。
- 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて(第 70 回(令和5年1月 27 日)厚生科学審議会感染症部会)P6(4)基本的な感染対策(マスク、換気、手洗い等))
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001045762.pdf - これからの身近な感染対策を考えるにあたって(第三報)-“新たな健康習慣”についての見解-(第 118 回(令和5年3月8日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリー・ボード提出資料)※感染防止の5つの基本
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001069238.pdf - これからの身近な感染対策を考えるにあたって(第四報)~室内での感染対策におけるパーティションの効果と限界~(第 119 回(令和5年3月 23 日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリー・ボード提出資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001076994.pdf