厚生労働省中間報告書「市町村事業におけるがん検診の事業評価の手法について(胃がん・子宮がん・乳がん・大腸がん検診)」に掲載された胃・大腸がん検診チェックリストについて
一般社団法人日本消化器がん検診学会
理事長 荒川 泰行
このたび,厚生労働省の「がん検診に関する検討会」での検討をふまえて,がん検診の事業評価に関する中間報告が表記の報告書として平成19年6月付けでまとめられました。その中で胃がん検診および大腸がん検診のチェックリスト(検診機関用,市町村用,都道府県用)が提示されております。検診機関用チェックリストについて掲載し,お知らせいたします。
記
胃がん検診チェックリスト
胃がん検診のためのチェックリスト【検診機関用】注1)
1.撮影の精度管理
- (1)検診項目は,問診及び胃部X線検査を行っているか
- (2)問診は現在の病状,既往歴,家族歴,過去の検診の受診状況等を聴取しているか
- (3)撮影機器の種類(直接・間接・DR撮影,イメージ・インテンシファイア(I.I.)方式等)を明らかにしているか原則として間接撮影で,10×10cm 以上のフィルムでI.I.方式とする
- (4)撮影枚数は最低7枚としているか
- (5)撮影の体位及び方法は日本消化器がん検診学会の方式によるものとしているか 注2)
- (6)造影剤の使用に当たっては,その濃度を適切に(180〜220W/V%の高濃度バリウム,120〜150mlとする)保つとともに,副作用等の事故に注意しているか
- (7)撮影技師は撮影に関する日本消化器がん検診学会の研修を修了し,同学会の認定取得を目標としているか
2.読影の精度管理
- (1)読影に従事する医師について,読影に関する日本消化器がん検診学会の研修を修了し,同学会の認定取得を目標にしているか
- (2)読影は,原則として十分な経験を有する2名以上の医師によって行っているか(うち1人は日本消化器がん検診学会認定医とする)
- (3)2名の医師の読影結果に応じて過去に撮影したX線写真と比較読影しているか
- (4)X線写真は少なくとも3年間は保存しているか
注1) 本チェックリストは「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」一部改正(平成18年3月通達)に基づき作成した
注2) 新・撮影法・変法,直接撮影法,DR(Digital Radiography)及びFPD(Flat Panel Detector)による撮影法は,日本消化器がん検診学会発行,新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドライン(2005)を参照
大腸がん検診チェックリスト
大腸がん検診のためのチェックリスト【検診機関用】
1.便潜血検査の技術管理
- (1)臨床検査技師のために技術講習会や研修会などを定期的に開催しているか
- (2)便潜血キットが定量法の場合はカットオフ値を把握しているか
- (3)大腸がん検診マニュアル(1992)に記載された方法に準拠しているか
2.受診者への説明
- (1)採便方法をチラシやリーフレットによって受診者に説明しているか
- (2)便潜血陽性で要精密検査となった場合には,必ず内視鏡検査等で精検を受ける必要があること及びその検査方法について,事前に明確に知らせているか
- (3)精密検査の結果の市町村への報告等の個人情報の取り扱いについて,受診者に対し十分な説明を行っているか 注)
3.検体の取り扱い
- (1)採便後は検体を冷蔵庫あるいは冷所に保存するよう受診者に指導しているか
- (2)採便の翌日までに,受診者から検体を回収することを原則としているか
- (3)受診者から検体を回収してから自施設で検査を行うまでの間あるいは検査施設へ引き渡すまでの間,冷蔵保存しているか
- (4)検査施設では検体を受領後冷蔵保存しているか
- (5)検査施設では検体を受領後原則として24時間以内に測定しているか
- (6)受診者への通知のための市町村への結果報告は,検体回収後2週間以内になされているか
注)市町村が実施するがん検診については,精密検査実施機関等が,精密検査の結果を市町村に情報提供する際に,必ずしも本人の同意を得る必要はないとされている。
上記については,厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/05/s0531-8.html)に詳しく掲載されておりますのでご参照ください。
以上