理事長挨拶
2023年6月30日に開催されました臨時理事会において、日本消化器がん検診学会第7代理事長を拝命しました。誠に光栄に存じますとともに、歴史ある学会の大任に身が引き締まる思いでおります。
日本消化器がん検診学会は、「消化器がん検診に関する学術の進歩と正しい検診方法の普及を図り、広く人類の福祉に貢献すること」をその目的として定款に掲げております。医学は主に「臨床医学」「基礎医学」「社会医学」に大別されます。当学会がその目的を達成するための「臨床医学」は、各種消化器がんを早期発見し、本邦におけるそれら疾患の死亡率低減を実現するための検診事業の啓発・普及です。そのためには、高度な検診技術を会得し、しっかりとした検診マインドを持つ
医師・メディカルスタッフの育成の益々の強化が必須と考えます。
「基礎医学」は、なんといっても未だ早期発見が困難で予後不良である膵臓がん、胆道がんなどの早期発見のための新たなバイオマーカーや新規診断技術の研究・開発であると考えます。今後、当学会はこれらの研究・開発の推進のためにPhysician Scientist への支援を更に強化したく願っております。
最後に「社会医学」ですが、日本消化器がん検診学会が社会医学的使命を帯びていることは本学会の大きな特色です。
国の施策として各自治体が取り組んでいます対策型胃がん・大腸がん検診の国民への啓発・普及、更にはその受診率・精度管理の向上に向けた取り組みを当学会は負託されております。
この負託に応えるため、当学会に属する公衆衛生学、医療統計学、医療情報学などの社会医学の専門家が、本邦の対策型消化器がん検診の状況把握とその向上のための新たな方向性の見極めに日々奮励していただいております。これら社会医学的取り組みを今後も継続するとともにICTなど最新の手法を用いることにより本邦の対策型消化器がん検診の現状を更に詳細に把握し、それらに基づく対策型検診の将来のあり方などを行政に提言できるように尽力したく願っています。
本学会のこれらの「臨床医学」「基礎医学」「社会医学」各分野の活動の強化・活性化には、関連学会・関連機関との強い連携、および行政との緊密な情報共有が不可欠です。つきましては、関連学会・関連機関・行政の皆様におかれましては、何卒、倍旧の御指導、御鞭撻を賜りますれば幸甚でございます。
日本消化器がん検診学会は、今後もたゆむことなく本邦における消化器がんによる死亡率の低減、ひいては死亡率ゼロを目指して全力で努力してまいる所存でございますので、何卒ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
一般社団法人日本消化器がん検診学会
理事長 大西 洋英