一般社団法人 日本消化器がん検診学会

学会概要

利益相反(COI)に関するQ&A

4.COI自己申告書とその提出について

31.COI自己申告書を開示することで、どのようなメリットがありますか?
COI問題は、マスコミからの指摘や所属研究組織内部からの告発による場合が多いのが現状です。COI申告書の記載に虚偽がなければ、学会は会員への誹謗中傷に対して会員の立場に立って適切に対応することが出きます。ただし、COI自己申告書の開示内容に虚偽の記載があることが明らかになれば、会員は違反者として措置されることになります。(細則 第7条に関連)
32.COI自己申告書を出す意味が理解できません。研究者の収入を開示するのは、個人情報保護法に違反するのでは?
医学系研究には企業との産学連携活動が欠かせません。当然、医学系研究が活発な研究者には公的にも私的にも研究費や講演料、株式収入などが入ってきます。その額があるレベルを超えると社会からの疑義や不信が発せられやすくなります。そのような問題を防ぐために、各研究者のCOI状態を適切に把握して、深刻な状態にならないようにマネージメントすることが求められます。COI開示はこうした疑義や不信を除くとともに、自らの行為が公明公正であることを示すために、研究者が自発的に行うものであり、個人情報保護法の理念に背反するものではありません。
33.企業に所属する研究者が研究成果を発表する場合,COI 申告をしなければなりませんか?(指針Ⅴに関連)
企業は本質的に営利を追求する立場であることから、企業所属の研究者は、所属する特定企業・部署名を演題名と一緒に明記するだけでよく、COI 自己申告書による開示は必要ありません。
34.臨床研究の実施や成果発表などでCOI 開示が求められるのは,研究機関に所属する研究者だけですか?
企業や営利団体との関連で、COI 開示をしなければならないのは、原則として公益性の高い学術研究機関に所属する研究者が医学系研究に携わる場合で、企業や営利団体が運営する研究機関(例,○○製薬創薬研究所)に所属する研究者はCOI 開示の必要はありません。
35.配偶者や一親等の親族、収入・財産を共有するもののCOI状態まで申告するように定めていますが,これらの人が開示・公開を拒んだら、どうすべきですか?
配偶者などのCOI状態が,申告者の学会事業活動に強く影響するのは一般に理解されているところですので、学会発表、論文投稿や学会役員などへの就任時には、COI状態の開示・公開が求められます。ベンチャー企業の立ち上げや運営において配偶者を含めて親族が関わる場合も想定され、配偶者などのCOI状態が深刻な結果、社会的・法的問題が生じた場合には、これらを自己申告されていなかった当該申告者を指針違反者として取り扱わざるを得ません。以上の点を踏まえて配偶者や一親等の親族に理解を求めて情報提供をお願いすることが大切です。
36.COI自己申告書への記載は、すべて記載すべきですか?(細則 第1条、第3条、第4条に関連)
自己申告書の各項目に沿って基準額が設定されていますので、有る、無しのチェックをすべての項目について行い、有る場合には、企業名を記載してください。
37.COI自己申告書の各項目の基準額は、どのように決められていますか?(細則 第2条に関連)
2006年に出された文科省検討班「臨床研究のCOIポリシー策定に関するガイドライン」と2008年度の「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」、国内他学会の基準ならびに諸外国での基準を参考にして項目の設定ならびに基準額が設定されています。
38.株の保有やその他の報酬は,医学系研究に関連した企業・団体だけを申告するのですか?(細則 第2条-2,9に関連)
学会発表者や論文投稿者については,当該医学系研究に関連する企業・団体のものに限定されます。学会役員などについては,本学会が行う事業に関連する企業・団体に限定して自己申告していただくことになります。
39.私はある生物製剤に関する特許権を1000万円で製薬会社に譲渡しました。これは特許権使用料には当たらないと解釈して、申告しなくてよいのでしょうか。(細則 第2条-3に関連)
特許権の譲渡については、本指針IV-3の該当項目に該当することから、申告が必要です。
 
40.私は会員ですが、製薬会社の株を30万円相当分持っています。また、先日、製薬会社の主催するセミナーで講演し、10万円の講演料を得ました。これら全てを自己申告しなければいけませんか?また、収入がある度に自己申告するのですか?(細則 第2条-2、4に関連)
具体的な申告の時期、申告方法、基準額は対象活動や対象者によってり異なり、細則に定めています。会員は、学会発表時、論文投稿時に、発表する研究内容に関係する企業・団体とのCOI状態を自己申告することが義務づけられています。一方、役員などの場合には、就任時に就任の前年度から1年ごとに過去3年間と、その後1年に1回の自己申告が必要です。株は1年間の利益が100万円以上の場合、講演料は1企業につき年間50万円などの取り決めが細則に定められています。
41.私は製薬会社と関係しない出版社からの原稿料が50万円を超えますが、会員としての申告が必要ですか?(細則 第2条-5に関連)
原稿料で申告が必要なのは、原稿料の支払元が製薬会社や医療器具メーカーなどである場合です。しかし、原稿料が出版社から支払われたとしても、関係する製薬会社などがスポンサーとして関係している場合には申告する必要があります。
42.ある製薬企業から、私の勤める病院に奨学寄附金400万円の入金があり、研究担当者名は私になっています。実際には、病院全体の研究費として多くの人が使用しており、物品を購入する場合、病院事務を通して経理がされています。このような奨学寄附金も私のCOI状態として申告すべきでしょうか?(細則 第2条-7に関連)
奨学寄附金を受け入れた場合,本指針IVの7にあたると解釈して、1企業から年間200万円以上であれば、受け入れた研究代表者名で申告する必要があります。実際の研究費の使用者が誰であるかに関わらず、研究代表者のCOIとして申告してください。ただし、学会発表、論文投稿の研究内容が、奨学寄附金を納入した企業・団体と関係のない場合には開示する必要はありません。一方、学会役員などは本学会が行う事業に関連する企業・団体に関わるもの全てが自己申告の対象となり、COI状態の開示を求められます。また、研究責任者が所属ずる施設長などの上級役職者(経営、管理、運営に関わる)が、病院自体に寄附金を提供する企業へ特段の利益誘導を行える、あるいは影響を与える立場であると第三者から疑われるような場合(バイアスリスク)には、組織COI として申告開示することが必要です。
43.製薬企業からの奨学寄附金を臨床研究に使うことは出きませんか?
奨学寄附金制度は寄附者が原則その対価を求めない点に特色があり、企業からの寄附金支払いが不当な取引誘因や販売促進の手段に利用されたり、研究者自身が結果公表に際してバイアスをかけたりすることがないように、研究機関の長及び研究者は奨学寄附金の受け入れを適切に開示し、企業との利害関係の一層の透明化と説明責任を果たさなければならないとされています。
したがって、製薬企業からの奨学寄附金を、その会社とは無関係の臨床研究に使用することは妨げられませんが、明確な説明責任があります。また、2017年4 月14 日公布の臨床研究法では第三十二条で”医薬品等製造販売業者又はその特殊関係者は,特定臨床研究を実施する者に対し,当該医薬品等製造販売業者が製造販売をし,又はしようとする医薬品等を用いる特定臨床研究についての研究資金等の提供を行うときは、当該研究資金等の額及び内容、当該特定臨床研究の内容その他厚生労働省令で定める事項を定める契約を締結しなければならない”とされており、本法の施行後は対象医薬品等の製造販売行う企業等から契約を締結せずに、奨学寄附金を用いて当該薬剤の特定臨床研究を行うことは法律違反となります。
44.寄附金の場合、申告・開示すべきとなっていますが、大学同窓会や個人からの寄附金も対象とすべきですか?
研究内容に関係する発表の場合、開示する対象は、バイアスリスクの視点から、企業・法人組織や営利を目的とした団体と規定されていますので、同窓会や個人からの寄附金については申告・開示の対象として適用されません。
45.私の所属機関では、企業からの奨学寄附金の入金額の10%が事務経費として差し引かれます。このため、企業から300 万円の奨学寄附金をもらっても、研究者には270 万円となります。この場合、奨学金の受け入れは270 万円と考えていいでしょうか?
申告する奨学金の基準額は所属機関の事務経費を控除した額でなく、企業から入金された全額をもとに記載してください。したがって、この例の場合、奨学金額は300 万円としてください。
46.COI申告書の中で、奨学寄附金(奨励寄附金など)の項目がありますが、教室(医局あるいは講座など)の代表リーダー(教授、准教授など)が受けている場合、どうすべきでしょうか? (細則 第2条-7に関連)
学会での演題発表については、申告者が所属する研究室単位が同じであったり、共同研究のために研究費の使途を一にしたりしている場合、COI 状態にあるとして基準額を超えている場合には申告をして下さい。役員の場合も同様で、部局内の研究者個人が研究費の提供を受けていて、共同研究を行う立場であれば、申告する方がいいと思います。しかしながら、同じ部局内の研究者が全く独立して研究をしている場合には必要ありません。
47.寄附講座の多くは企業の寄附資金によって運営されていますが、寄附講座所属の教員や職員についてはCOI申告をどのようにするのですか?(細則 第2条-8 様式2Cに関連)
寄附講座は深刻なCOI状態が生じる可能性が高いことから、所属する教員などは所定の様式に従って申告する必要があります。
48.寄附講座に所属する会員は,講演会などでの所属,職名はどのように表示すべきですか?
産学連携活動の一つとして、大学の部局内に企業などからの提供資金によって寄附講座が数多く設置されています。寄附講座に所属する会員は、発表に際しての職名は所属施設・機関で使われる正式名称(特任教授、特命教授など)を記載し、寄附講座については資金提供元の企業名を謝辞に明記すべきです。
49.寄附講座の教員が論文発表をする場合,資金提供元の企業名をどの様に記載すべきですか?
企業などからの資金提供により設置された寄附講座に所属する会員は、論文発表に際して「謝辞: XXX 寄附講座は、YYY製薬の寄附金にて支援されている。」などの記載をするべきです。
50.10社以上からの共同出資によって寄附講座が設立されている場合,それらをすべて記載すべきですか?
複数の企業などから寄附金として資金提供されている場合には、1 社あたり寄附金額 100 万円以上であれば、該当する企業名をすべて記載し、透明化を図ることが求められます。
51.地域医療の充実を図るため、県や市町村が寄附金を提供して寄附講座が研究機関に数多く設置されていますが、どのようなCOI マネージメントがなされるべきですか?
当該の寄附講座に所属する研究者は、企業や営利団体と関係する訳ではありませんので、COI を申告する必要はありません。
52.症例報告でも,奨学寄附金を含めてCOI 開示はすべきですか?
症例報告におけるCOI 状況の申告・開示については、発表内容がある特定の企業の利益に結び付く場合や奨学寄附金などの提供を受けていない場合には必要ありませんが、受けている場合は必要です。
53.「研究、教育、診療とは直接関係のない、その他の報酬」を申告するように義務づけられていますが、製薬会社が提供するテレビ番組のクイズで海外旅行が当たっても申告するのですか?(細則、第2条-9に関連)
クイズや抽選で当たったものは景品であって報酬ではありません。申告が義務づけられているのは「報酬」であり、「報酬」とはなんらかの労力に対する見返りとして支払われるものです。したがって、景品は申告対象ではありません。本指針IVの7に当たる例としては、ある医師が特定の薬をよく処方することから、その薬を販売する企業が謝礼の意味でUSBフラッシュメモリーを医師に渡すことなどが該当します。極端な場合には贈賄行為となり刑事罰の対象となりますので、本指針で扱うものではありません。本指針IV1〜6に該当しないが、COI状態となる可能性のあるものを拾い上げるために7を設けています。施行細則に1つの企業・団体から受けた報酬が5万円以上を申告することとしています。
54.過去3 年間のCOI 状態の自己申告について、A製薬との契約による受託研究にて医学系研究を行いましたが、論文作成が契約後4 年経過して遅れました。3 年を過ぎているのでA製薬の記載を論文末尾にする必要はないですか?
医学系研究の研究資金をA製薬から提供されて研究を実施している場合、刊行物での公表が遅れても原則的にfunding source(資金源)を明記しなければなりません。
55.私は日本消化器がん検診学会の医師研修会での講演を依頼されました。このような場合もCOI状態を開示しなければならないのですか?(細則 第1条に関連)
本学会の事業活動である医師研修会や支部医師研修会は、多くの場合その分野の専門家が演者となりますので、受講者への影響は大きいと考えられます。そこで、所定の様式に従い、COI状態を報告書で提出するとともに、発表スライド中に開示していただくことになります。
56.日本消化器がん検診学会のCOI自己申告書にある基準は、今後変わりませんか? (細則 第10条に関連)
申告するための項目とか基準額などは社会的な要因や時代の変化に伴い変化していくことが予想され、その時代にあった基準に変更していくことが求められます。今回のCOI指針の中でも、「社会的要因や産学連携に関する法令の改正、整備並びに医療及び研究をめぐる諸条件に適合させるためには、定期的に見直しを行い、改正することができる。」と、XII.指針の改正の項に明記されています。
57.日本消化器がん検診学会のCOI指針は、地方会にも適用されますか?
一般社団法人として、日本消化器がん検診学会の各支部の運営も一体となっていますので、各支部の地方会での発表も本指針と細則が適用されます。
58.日本消化器がん検診学会で演題発表を行う、COI状態の報告について具体的に、何をすればいいですか?(細則第1条に関連)
学会での発表については、発表者全員を対象に、発表演題に関係する企業などとのCOI状態を開示することが必要で、筆頭発表者が責任を持ちます。開示は当該発表演題に関連した企業との金銭的なCOI状態に限定されます。医学的に影響力のある医学系研究の試験結果については論文として投稿される時も、筆頭著者のみならず、全共著者のCOI状態を開示が必要です。
59.営利企業や団体などから示された基準をはるかに超えるCOI状態があった場合、学会の発表はできないのですか?
額の個人収入を得ているからと言って、講演ができないことはありません。発表の時に、適切にCOI状態を自ら開示することによって、その講演内容の評価を参加している聴衆の判断に委ねることになります。当然、当該の講演者には、発表内容の中立性、公明性が求められることとなり、このような対応がCOIマネージメントの基本と理解してください。
60.学会で演題発表する場合、いつ発表者のCOI状態を申告するのですか?
本学会ホームページ「利益相反(COI)」の[様式1] 発表者(共同演者含む)COI 申告書に記入の上,当該学術集会の運営事務局へ郵送にてご提出ください。
61.非会員が本学会の特別講演、シンポジウムなどに招待された場合、本指針は適用されますか?(細則 第1条 第1項に関連)
本学会の事業に参加することから、会員の場合と同様に、発表時にCOI状態の開示が求められます。
62.企業所属の社員が大学・研究所へ非常勤の形(特任,非常勤講師など)で所属し,複数の所属名・職名がある場合に,研究結果を発表する時,どのように所属を記載すべきですか?
COIの開示法として、特定企業に雇用され主たる給与が支払われていれば、企業名・職名も併せて開示しして頂きます。
例、日本太郎1) ○○大学医学部1) ○○製薬 ○○部1)
63.企業の従業員Aが、臨床試験をB大学教授に働きかけ、ウエブでの症例データ集計、解析などの支援をしてきたが、論文発表の時点で、従業員Aが別の大学の研究所に移籍した場合、当該の臨床試験の成果を公表する時に、移籍した大学名の所属だけの記載でいいですか?
この質問に含まれている問題点として、①B大学教授は臨床研究実施計画書に従業員Aの役割と所属を書いていたか? 臨床試験の財源はどこからかの記載はあったか? 複数年にわたっているが、倫理審査は更新の度に行われていたか? 倫理資産記録は保存されているか? ②論文公表について、代表者B大学教授は従業員Aの著者資格としてどのような貢献と認識していたか?会社名の記載がCOI マネージメントの視点から求められるが、その認識はあったか? などが重要です。取るべき対応としては、臨床試験実施当時の所属先(論文公表前の5 年間が対象)と現在の2つの所属を記載すべきです。
64.学術講演会などの昼食時や、夕方に開催される企業主催のランチョンセミナー、イブニングセミナー(シンポジウム)などが開催された場合、発表者には本指針と細則が適用されますか?
本指針の「III.対象となる活動」に記載されている様に、それらのセミナーは本学会の事業に含まれ、学会員を対象に行われることから、発表者はCOI状態についてスライドを用いて開示していただくことになります。
65.本指針や細則に従えば、日本消化器がん検診学会事務局に膨大な量の個人情報が蓄積されることになりますが、それらはいつまで保管されるのでしょうか?
雑誌や学会での発表者のCOI情報は、論文中や発表時にスライド又はポスターで開示されることにより完結しますが、「学会発表のための抄録登録時あるいは本学会雑誌への論文投稿時に提出されるCOI自己申告書は提出の日から2年間、理事長の監督下に法人の事務所で厳重に保管されなければならない。」と細則第5条第1項に記載されており、その後は廃棄します。
66.日本消化器がん検診学会雑誌への投稿論文で明らかにするCOI状態の期間は、いつからいつまでですか?(細則 第3条に関連)
投稿する時の前の年から過去3年間に発生した事項について自己申告して下さい。
 
67.役員、代議員、総会会長、大会会長、各種委員会のすべての委員長、学会事務職員などがCOI自己申告書を提出する場合の対象となる期間はいつからいつまでですか?(細則 第4条 第1項に関連)
税務署への自己申告の対象期間は、1月1日から12月末であり、データとして整理できていると思われますので、就任するに際して前年から過去3年間を対象期間としてCOI状態の申告を義務づけています。
68.役員などで理事長宛にCOI自己申告書を提出した後に既定の基準を超える個人的な収入があった場合、どのように対応すべきですか?(細則 第4条 第2項に関連)
既に提出しているCOI自己申告書への追加・修正という形で、在任中に基準を超えた新たなCOI状態が発生した場合は、8週以内に自己申告すべきであると定められています。あくまで、自己申告制ですので、常日頃から自らのCOI状態をチェックしておくことが肝要と言えます。
69.本学会の場合は,理事長、副理事長、理事・監事・幹事の就任日、委員長就任日、委員就任日が、それぞれ異なっています。同一人物が理事となり、ある委員会の委員長となり、また別の特定委員会委員を兼ねる場合は、3回も申請書を書かなければならないですか?(細則4条,様式3に関連)
理事、特定委員会委員などを兼任される場合は、就任が最も早いものについて、就任時に所定の様式に従ったCOI自己申告をしていただきます。その後、委員長や別の特定委員会委員になっても、個別に申告する必要はありません。ただし、例えば、理事就任後、別の委員会委員に就任する間に、製薬会社から奨学寄附金を1,000万円獲得された場合は、細則第4条に「在任中に新たなCOI状態が発生した場合は、8週以内に様式4によって報告する義務を負うものとする。」という規定がありますので、新たに発生したCOI状態の分についてのみ様式4を用いて、申告していただく必要があります。
70.役員の場合、企業からの金銭授受が基準額以上にあれば、自己申告書にすべて記載すべきですか?(細則 第4条に関連)
自己申告書にすべての企業を記載しても記載しすぎることにはなりません。申告書は学会事務局に厳重に保管されており、申告内容が特定の者以外に開示されたり、漏れたりすることはありません。したがって、自己申告書に記載しすぎると言ったことはありませんので、すべての企業を記載してください。
71.理事、特定委員会委員などは、COI自己申告書をいつ提出するのですか? (細則 第4条 第1項に関連)
就任した時点で自己申告書を提出する義務を負います。申告がない場合には,就任が承認されません。
72.役員などが自己申告書提出後に,新たに基準額を超えるCOI 状態が発生した場合はどのように対応すべきですか? (指針Ⅶ 第2 項、細則 第4条 第2項に関連)
新たに発生した時点から8週以内に修正した自己申告書(様式4)を学会理事長あてに提出する義務が生じます。
73.COI状態の回避について「当該医学系研究を計画・実行する上で必要不可欠の人材であり、かつ当該医学系研究が医学的にも極めて重要な意義をもつような場合には、当該医学系研究の試験責任医師に就任することができる。」という例外規定を設けることは、本指針の理念を弱めることになりませんか?(指針Vに関連)
本指針の目指すところは、研究者にCOI状態の回避を強制することではなく、また、COI状態が強い研究者に対して医学系研究を制限することでもありません。社会にとって有意義で、重要な医学系研究を推進することが大切でありますが、活発に医学系研究を実施する研究者ほど、COI状態が深刻化するのが一般的です。上記のような例外規定を設けることで、有能な研究者が医学系研究に関わる道を開くことが大切と考えており、何らかのマネージメントを行うことにより、透明性、中立性が担保出来れば試験責任医師への就任は可能であるとの判断です。本指針では学会の管轄外で行われる医学系研究の実施については、会員の所属機関のCOI指針に従うべきであり、学会としての判断を示すにとどめています。
74.ある特定の企業A社から、講演料、寄附金などで高額の収入を得ている場合、A社の臨床検査キットに関わる診療ガイドラインを策定する委員会の委員長になることが出来ますか?
社会的な視点からその収入額が非常に高いと考えられる場合には、委員長になるべきではありませんが、委員として参加することは可能です。しかしながら、深刻なCOI状態にあると思われる場合には、深刻な状態を緩和するための措置(委員の辞退、定期的な報告義務、監査など)を取ることも一つの解決策と言えます。
75.ある保険会社の顧問をしていますが、これも自己申告するのですか?(細則 第2条に関連)
日本消化器がん検診学会の事業活動を担う役員の場合、当該保険会社との間にCOI状態が発生しないと考えられるのであれば、申告の必要はありません。当該の保険会社に関係する委員会委員長に就任する場合にはマネージメントが必要になる可能性があり、そのような場合に自己申告が求められます。

(付記:この医学研究に関する利益相反Q&Aの作成にあたっては、日本内科学会及び日本消化器病学会の利益相反Q&Aを参考にし、その骨子とさせていただきました。)

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