一般社団法人 日本消化器がん検診学会

学会概要

理事長挨拶

photo_fukao.jpg 平成29年6月23日の臨時理事会において、日本消化器がん検診学会の第6代理事長に選任されました。宜しくお願い申し上げます。
 胃がん検診の黎明期である1950年代初頭は、結核に代わり脳卒中とがんによる死亡の増加がクローズアップされ、働き盛りの年代では死亡率第1位となり、我が国ではがん対策が公衆衛生上喫緊の課題となりました。その対策として、結核対策で用いられた間接X線撮影による集団検診とういう手法が応用されました。九州大学の入江英雄教授(1953年)、日本大学の有賀槐三教授(1956年)、東北大学の黒川利雄教授(1960年)らの研究により、現在に繋がる検診車による胃がん集団検診の方法が確立されたのです。
 しかし当時は集団検診の方法も手探りであり、検診に携わる医師や診療放射線技師、保健師らの情報交換の場として、昭和37年(1962年)に有賀槐三先生が世話人となり「胃集検研究会連絡会」が設立されました。その後、学会設立の機運の高まりによって、翌年の昭和38年(1963年)に「日本胃集団検診学会」と改称されました。1982年には大腸がん検診と超音波検査による肝・胆・膵検診の参加に対応して「日本消化器集団検診学会」に、さらに2006年には個別検診の普及に対応するために集団を外して「日本消化器がん検診学会」に改称して現在に至っています。本学会は「胃集検研究会連絡会」から数えて今年で56周年になります。もとより浅学非才の身でありながらこの歴史ある学会を率いることになり、その責任の重さに身が引き締まる思いです。
 本学会は、設立当初より、学術的な使命のみならず「消化器がん検診の普及によるがん死亡率の減少」という社会的使命を大切にしてきました。また、医師のみならず診療放射線技師や保健師などのコメディカルとの連携という、今では他学会でも当たり前とされていることにも先駆的に取り組んでまいりました。これからもこの伝統は守っていく所存です。
 我が国の胃がん検診は長らくX線による検診が行われてきましたが、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」の改定(平成28年2月4日)では、X線に加えて内視鏡による検診も認められました。また、胃がんの予防ではヘリコバクター・ピロリの除菌についても触れており、胃がん予防健康教育を実施する場合は、胃がん検診と緊密な連携が確保された実施体制を整備することが重要とされました。これは我が国の胃がん検診のあり方の大きな変化です。本学会としましても、それに対応すべく「対策型胃がん検診のための内視鏡検診マニュアル」を2017年3月に、ヘリコバクター・ピロリ感染診断を考慮した「胃X線検診のための読影判定区分マニュアル」を2017年6月に上梓してまいりましたが、今後は一次予防と二次予防との連携が今まで以上に重要になってくることから、学会としてもそれに対応してまいりたいと思います。
 さて、我が国の消化器がん検診には多くの課題が存在します。その中でも検診受診率の低迷は最重要課題です。胃内視鏡検診の導入で検診受診率の向上が期待されていますが、内視鏡検査医や二次読影医の不足、精度管理のあり方など解決すべき多くの課題があります。また、胃X線検診でも若手医師のX線離れ、読影医の高齢化が問題になっています。今後は若手読影医の育成などが喫緊の課題と言えましょう。それらに対応するためには実践に即した教育・研修を充実させると共に、それを広く社会に普及させることが大切と考えます。「古人の跡を求めず、古人の求めしところを求めよ」という言葉がありますが、新しい時代に対応しながらも「がん撲滅」という先人の熱い思いを忘れずに本学会の使命を果たしてまいりたいと思いますので、皆様宜しくお願い申し上げます。

一般社団法人日本消化器がん検診学会
理事長 渋谷 大助

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